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米国税務における時効、利息とペナルティー

税務

2024年8月

米国税務における時効、利息とペナルティー

クライアントの皆様から伺う質問の中に、税務申告にかかる時効の問題があります。会社として経理書類の保存期間を何年にするかを決める際にも、考慮すべき重要な事柄の一つでもあり、税務申告に係る利息、ペナルティーの問題と合わせてご紹介したいと思います。

時効(Statute of limitations)

  • 時効は、通常、「法人税申告書の提出期限(申告期限延長前)、または、実際に提出した日のどちらか遅い方から後3年」で成立します。したがって、申告書を提出していなければいつまでたっても時効は成立しないこととなります。
  • 原則として、「発送日イコール提出日」とみなされ、時効の起算は、原則、「申告書を提出した日の翌日」になります。
  • 例えば、12月決算の会社で2025年4月15日が申告期限で、4月12日に発送をした場合には、提出日が2025年4月12日とみなされ、遅い方の2025年4月15日の翌日、2025年4月16日が起算日となり、3年経過した2028年4月15日に時効が成立することとなります。
  • 総所得の25%を超える額を過少申告した場合には、時効は6年に延長されます。
  • 脱税目的で不正な申告書を提出した場合は、時効の成立はなく、IRSはいつでも税金を徴収することができます。なお、この場合の脱税を目的とした立証責任はIRS側にあります。
  • その他、繰越欠損金等が生じた年から将来に繰り越した場合、IRSは時効が成立していない年で、繰越欠損金の額を変更することができます。例えば、2009年に生じた繰越欠損金を2024年12月期に使用し、その申告書を2025年4月15日に提出をした場合、IRSは2024年において使用した繰越欠損金の額を、2028年4月15日に時効が成立するまで、追徴を行うことができます。

納税額にかかわる利息とペナルティー

延長申請時の納税不足

  • 延長時の納付税額の合計が確定した法人税額の90%を満たしていれば、「ペナルティー(未納付)」は免除されます。ただし、「利子」は徴収されます。したがって、利子やペナルティーがかからないよう、延長時までに余裕をもって納税をしておくことが一般的です。なお、「ペナルティー(未納付)」は、月額5%で、上限が25%です。「利子」については、四半期ごとに利率が見直され、IRSのホームページで公表されます。法人税の未納付に係る利率は2024年第3四半期は年間8%となっています。
  • 申告書を提出期限までに提出しない場合にも、要納付額について1か月あたり5%の「ペナルティー(無申告)」が科されます。上限は25%(5か月分)となっています。ただし、申告書の提出期限から60日以内に申告書を提出しない場合で、未納税額がある場合は、上記にかかわらず、少なくとも100ドルか未納税額のいずれか少ない金額が「ペナルティー(無申告)」とされます。
  • 「利子」は損金算入が可能、「ペナルティー」はいずれも損金算入が不可となっています。

予定納税の不足

  • 年4回の予定納税に係る過少納付は、「利子」ではなく、「ペナルティー」とみなされ、損金不算入となります。
  • 利率は、延長申請時の納税不足にかかる「利子」と同じです(上記参照)。上記に記載の通り、2024年第3四半期は年間8%となっています。

利子やペナルティーの計算は非常に複雑です。我々、税務専門家も税務申告ソフト等に頼って計算しています。あくまでも、大枠の理解として参考にして頂き、詳細の計算は専門家にお問い合わせ頂くのが良いかと思います。

その他のペナルティー

米国税法は、さまざまな報告義務の漏れ等様々な場面でペナルティーを科しています。このようなペナルティーが科されることのないよう、留意することが望まれます。代表的なペナルティーを紹介します。

  • Information return penalties (Form 1099) 報告遅延日数等によって、1件あたり$60, $120, $310 or $630。
  • Failure to deposit penalty (payroll tax) 報告遅延日数等によって、未納付額の2%から15%。
  • International information reporting penalties

Form 8938 (Statement of Specified Foreign Financial Assets) $10,000
Form 5471 (Information Return of U.S. Persons With Respect to Certain Foreign Corporations) $10,000
Form 5472 (Information Return of a 25% Foreign-Owned U.S. Corporation or a Foreign Corporation Engaged in a U.S. Trade or Business) $25,000
Form 8865 (Return of U.S. Persons With Respect to Certain Foreign Partnerships) $10,000

このレターでは、読者がなるべく理解をしやすいよう、枝葉末節にとらわれず、一般論を記載するよう心がけており、プレミア会計が専門家としていかなるアドバイスを提供するものではありません。個別の内容については、専門家にお問い合わせください。

This article is intended as general information only and does not constitute professional advice. Using this document or any other material provided by Premier Kaikei LLP, Premier does not create a professional-client relationship. All information should be independently verified before being relied on or acted upon. Please speak to an experienced professional for case-specific questions.

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