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キャッシュフローの観点から貸借対照表を分析する

会計

2024年6月

キャッシュフローの観点から貸借対照表を分析する

 

先月はCVP分析をベースとした損益計算書の見方について取り上げましたが、今月はキャッシュフローの観点から貸借対照表をどのように分析するかについて、ご紹介したいと思います。

 

貸借対照表の3要素

貸借対照表の左側(借方)に表されているものが「資産」、右側(貸方)に表されているものが「負債」と「資本」になります。

この3つの要素について、いろんな説明の仕方ができますが、キャッシュフローの観点からは以下のように見ることができます。

 

資産

「現金」および「現金以外の様々な形に変わった価値のあるもの」と考えることができます。現金以外の様々な形に変わった価値のあるものとしては、棚卸資産、土地、建物、備品、車両、また、売掛金も「顧客からの支払いがあれば現金に間もなく変わるもの」とみることができます。

  • 安定的なビジネスの運営のためには潤沢なキャッシュが手元にあることが望まれます。そのためには、棚卸資産は早く売り上げて、売掛金に形を変え、さらに早期に代金を回収することで、売掛金から現金に変えていく努力が必要です。資産の中でも、流動資産は短期のうちに現金に変えることができることが期待されている(変えなくてはならない)資産です。
  • 一方、潤沢なキャッシュをさらなるビジネスの成長のためにどのように投資を行っていくかも重要な視点です。最近、多くの日本企業が潤沢な資金を活用できずにいることがたびたび話題になっています。その投資の形としては、土地、建物、車両などといった、製品を生み出す工場であったり、統括機能を担う本社であったり、あるいは、他社への投資(子会社株式、投資有価証券)や貸付(貸付金)であったりします。投資したものが適切な効果を生んでいるか、無駄な投資はないかモニタリングを行うことが重要です。

 

負債および資本

右側(貸方)にある負債、資本は「どのように資金調達を行っているか」を示しており、そのうち「負債」は「他人資本」とも呼ばれ、他人から調達して返す必要があるもの、「資本」は「自己資本」とも呼ばれ、株主から調達(資本金)あるいはこれまでの利益の累積(未処分利益)で、基本的には返す必要がないものと見ることができます。

  • 負債そのものは決して悪いものではありません。ただし、いつか返さなくてはならないものですので、左側に記載されている現金と比較することによって、十分に返済能力があるか確認をする必要があります。特に、流動負債は、比較的短期に返済することが予定されているものであり、資金繰りに大きな影響を与えます。
  • また、負債は多くの場合、利息が発生するものです。少し前までとは違い、アメリカにおいては金利負担が大きくなっていますので、金利負担の影響も考慮する必要があります。借入金に利息が発生することはもちろんのこと、買掛金や未払金については、早期の支払いによってディスカウントを受けることができますので、その分を金利と見ることもできるでしょう。

 

貸借対照表の事例

下記の2つの貸借対照表は、いずれも総資産が10,000で、同じ規模となっています。

 

  • 資本の部(資本金と未処分利益の合計)を比較すると、例1は4,000、例2は2,000で、例1の方が自己資本が手厚く、一見良いように見えます。
  • しかし、例1は現預金が500しかなく、一方、流動負債(買掛金と未払金の合計)は3,500あり、流動負債の返済すら危ない状況です。その理由として、資産側に目をやると、大きな設備投資(土地、建物、備品)と、大きな(滞留している)売掛金と棚卸資産が、資産の現金化を妨げています。売掛金の回収と棚卸資産の販売が進まないと、このままでは、資金繰りがショートし、倒産が見えています。
  • 一方、例2は現預金が6,000と豊富です。流動負債(買掛金と未払金の合計)も2,500と少なく、当面の資金繰りは問題なさそうです。長期借入金が5,500と大きくなっていますので、今後の返済に合わせて、十分な利益を生み出していくことが必要です。また、借入金に対する金利にも目を配る必要がありそうです。そして、今後は豊富な現金を、単に寝かせてしまうのではなく、ビジネスの成長に有効活用していくことが必要でしょう。

 

このレターでは、読者がなるべく理解をしやすいよう、枝葉末節にとらわれず、一般論を記載するよう心がけており、プレミア会計が専門家としていかなるアドバイスを提供するものではありません。個別の内容については、専門家にお問い合わせください。

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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

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