金融商品取引法「財務報告に係る内部統制報告制度」(J-SOX)～②内部統制の基本的な枠組み～

2025年6月

金融商品取引法「財務報告に係る内部統制報告制度」(J-SOX)～②内部統制の基本的な枠組み～

内部統制は「経営者が会社を効率的かつ健全に運営するための仕組み」です。では、内部統制とは具体的に何を指すのか見ていきましょう。

• 内部統制の基本的な枠組み

J-SOX法は内部統制の国際的基準として広く認識されているCOSO(米国トレッドウェイ委員会支援組織委員会)による内部統制の統合的フレームワークを取り入れ、更に日本の企業環境に合わせて項目を追加し、内部統制をその目的と基本的要素で示しています。

• 4つの目的
  COSOの定義では、内部統制は「目的の達成に関して合理的保証を提供することを意図した、事業体の取締役会・経営者・その他の構成員によって遂行されるプロセス」とし、Operations(業務の有効性及び効率性)、Reporting(報告の信頼性)、Compliance(法令の遵守)の3つを内部統制の目的としています、日本版COSOにおいては「資産の保全」を追加している点が異なります。
  1. 業務の有効性及び効率性: 効果的かつ効率的な業務遂行
  2. 報告の信頼性^※: 組織内外への、正確で信頼できる報告
  3. 法令の遵守: 関連する法令や規則の遵守
  4. 資産の保全: 企業の資産を適切に保護、資産の流出を防止

※2024年4月以降開始する事業年度から適用される内部統制報告制度改訂版において、サステナビリティ等の非財務情報に係る開示の重要性の高まりを背景とし、「財務報告の信頼性」から「報告の信頼性」に変更されました。J-SOX法においては金融商品取引法の制度であるため引き続き「財務報告の信頼性」を主な焦点とするが、その他の3つの目的が全くカバーされないということではなく、これらの目的は相互に関係しあうことを理解しておくことが重要です。

• 6つの基本的要素
  リスクに対応した強固な内部統制システムを構築するためには、 6つの要素を組み合わせることが大切とされています。「ITへの対応」は日本版COSO特有の要素です。

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