2024年予算教書、グリーンブックの公表
Premier Kaikei
2023年4月1日
税務
2023年4月
2024年予算教書、グリーンブックの公表
3月9日、バイデン政権は2024年会計年度(2023年10月~2024年9月)の予算教書を発表し、これに合わせて米国財務省より公表された通称グリーンブックによって、新年度の税制改正案が明らかにされました。
https://home.treasury.gov/system/files/131/General-Explanations-FY2024.pdf
アメリカ政府は借金できる金額が上限に達し、国債の債務不履行を避けるために臨時の措置で当面の資金を確保している状態にあります。今後、借金できる金額の引き上げによって積極的な歳出を目指す民主党と、下院で過半数を握りこれらに反対する共和党による駆け引きの中で、どのような決着点を見るのか注目されるところです。今回は、グリーンブックによって明らかとなった税制改正案の内容をかいつまんで紹介したいと思います。
Business tax関係
- 法人税率を28%へ引き上げ
- 一定の自己株式の取得に関する税率を1%から4%へ引き上げ
- GILTI(米国外軽課税無形資産所得の合算課税)税制の見直し(下記参照)。
- 軽課税に関するルール(undertaxed profits rule, “UTPR”)の設定と、BEAT(税源浸食濫用防止税)税制の廃止
- Non-CFC外国法人からの配当に関連してSection 245A配当控除の適用範囲の縮小
- FDII(外国稼得無形資産所得控除)税制の廃止、かわって研究開発を促進するような税制の創設を目指す(具体的な案はなし)
- グループ間の借入利息費用の控除制限
- 米国にビジネスをもたらす(onshoring a trade or business to the United State)一定の費用に関して10%相当額の税額控除制度の創設
- 米国外にビジネスを移転する(moving a US trade or business offshore)際に発生する費用の損金算入の制限
- 法人の清算時に発生するロスの制限
- 不動産の同種交換に関する課税の繰り延べの廃止
- Backup withholdingに関する報告の見直し
Individual tax関係
- 所得税の最高税率を39.6%に引き上げ
- 高額所得者のキャピタルゲイン税率を、一般所得の税率に引き上げ
- Net investment tax税率を3.8%から5.0%に引き上げるとともに、高額所得者への追加のMedicare taxの課税
- 一定の資産の評価ルールの見直し
なお、GILTIの見直しについて概要は以下の通りとなっています。
- GILTI税制におけるいわゆるSection250控除が現在の50%から25%となるため、GILTI課税は21%(=28%×(1-25%))となる。→増税
- 現在認められていqualified business asset investment(QBAI)の10%控除は廃止。→増税
- GILTIにおける外国税額控除不適用は20%から5%になる。不適用となった外
- 国税額は10年繰越可能となる→減税
- 欠損金の繰り越しを認める→減税
- いわゆるhigh-tax exceptionの廃止
また、今回の改正案では我々の1月のニュースレターで取り上げたFDIIの廃止が盛り込まれています。FDII税制は、当初、政府が想定したであろう趣旨からはかなりかけ離れた内容となっており、結果として多くの会社が恩恵を受けられるような形になっていました。当初目指した趣旨からすると、今回の方向性はやむ無しかなという感じもします。
このレターでは、読者がなるべく理解をしやすいよう、枝葉末節にとらわれず、一般論を記載するよう心がけています。個別の内容については、プレミア会計の各担当者にお問い合わせください。
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