信頼は、「理解すること」から始まる ~駐在員と現地社員が共に成長する組織へ~
Premier Kaikei
2026年7月14日
その他
2026年7月
信頼は、「理解すること」から始まる
~駐在員と現地社員が共に成長する組織へ~
前回のニュースレターでは、「現地社員を信頼し、その力を活かすことが米国子会社の成長につながる」というお話をしました。
今回は、その続きとして、少し視点を変えてお伝えしたいと思います。
新しい駐在員を迎えるのは、私たちにとっても毎回新しいスタートです
米国に赴任される日本人駐在員の皆様は、限られた任期の中で大きな責任を担っています。
日本本社からの期待に応え、現地法人の業績を守り、組織を率い、時には変革を進めなければなりません。
その責任の重さは、私たち現地社員も十分に理解しています。
だからこそ、新しい駐在員が赴任されるたびに、「ぜひ成功してほしい」「一緒に会社を良くしていきたい」という気持ちでお迎えしています。
しかし実は、私たちも少なからず不安を感じています。
「英語で十分にコミュニケーションが取れるだろうか。」
「私たちの意見にも耳を傾けてくれるだろうか。」
「現場を理解しようとしてくれるだろうか。」
「また一から会社の歴史や経緯を説明することになるのだろうか。」
駐在員にとって赴任が人生の大きな転機であるように、私たち現地社員にとっても、新しいリーダーとの出会いは決して小さな出来事ではありません。
実際、私たちはこれまで何人もの駐在員と一緒に仕事をしてきました。
営業出身の方が突然CFOとして赴任されることもあります。
エンジニアがCOOとして現地法人を率いることもあります。
人事部門で経験を積まれた方が、管理部門全体を統括されることもあります。
それぞれに異なる経験や価値観があり、同じ駐在員は一人としていません。
だから私たちも、その都度、新しい上司を理解し、新しい関係を築こうと努力しています。
現地社員は、変化を嫌っているわけではありません
日系企業では、ときに「現地社員は変化を嫌う」と受け止められてしまうことがあります。
しかし、多くの場合、それは誤解です。
私たちは、新しい挑戦や改善に反対したいわけではありません。
会社がより良くなるのであれば、新しい仕組みや新しい考え方にも積極的に協力したいと思っています。
ただ、一つだけお願いしたいことがあります。
それは、「なぜ変えるのか」を教えていただきたいということです。
なぜ、このタイミングで変えるのか。
何を目指しているのか。
これまでのやり方の何が課題なのか。
私たちに何を期待しているのか。
背景や目的を理解できれば、多くの現地社員は変化を前向きに受け入れます。
反対しているのではなく、納得した上で、一緒に成功させたいと思っているのです。
二つの会社があるように感じる瞬間
日系企業の米国法人では、ときどき一つの会社の中に二つの会社があるように感じることがあります。
一つは、日本本社から赴任してきた駐在員。
もう一つは、現地で採用された社員です。
もちろん、そのように分けようとしている会社はほとんどありません。
しかし、日本語だけで会話が進む。
重要な意思決定が日本人同士で完結する。
現地社員には、決まったことだけが後から共有される。
そんな場面が続くと、
「私たちは本当に同じチームなのだろうか。」
そんな気持ちになることがあります。
一つひとつは小さなことです。
しかし、その積み重ねが、「本社の人」と「現地の人」という見えない壁をつくってしまうことがあります。
現地社員の中で、橋渡し役を担うローカル日本人スタッフ
そのような中で、とても重要な役割を担っているのが、ローカル日本人スタッフです。
彼らも現地社員の一員ですが、日本語と英語の両方を理解し、日本企業の文化と米国での実務の両方を知る、少し特別な存在です。
会社の歴史を知り、現地社員との信頼関係を築き、日本本社の考え方も理解している。
新しい駐在員が赴任するたびに、
「このお客様とは、こういう経緯があります。」
「この会計処理は、以前のCFOと監査法人が協議し、この方法に落ち着きました。」
「この社員は、自分の意見を聞いてもらえる環境で最も力を発揮します。」
こうした、マニュアルには書かれていない”会社の記憶”を共有しています。
しかし、その役割は決して簡単ではありません。
日本人からは、「日本語が話せるから」と頼られる。
一方で、現地社員からは、「日本人側の人」と見られることもあります。
両方の立場を理解しているからこそ、時には双方の考え方を翻訳し、誤解を防ぎ、お互いを理解してもらう役割を担っています。
問題が起きそうなことを事前に防ぐ。
現地社員の不安を早めに察知する。
本社の考えを現地へ伝え、現地の事情を日本側へ伝える。
その仕事はとても重要ですが、「何も起きなかったこと」が成果であるため、表からは見えにくく、評価もしづらい仕事です。
会社の記憶をつないでいるのは、現地社員です
駐在員は3年から5年で帰任されます。
しかし、現地社員は会社に残り続けます。
どのお客様と、どのような歴史があるのか。
なぜ現在の業務フローになったのか。
以前どのような課題があり、どのように改善してきたのか。
どの社員が、どのような強みを持っているのか。
こうしたことは、引継書だけでは伝えきれません。
会社の経験として、人の中に積み重なっています。
新しい駐在員が赴任するたびに、その経験を少しずつ共有し、会社の歴史を次の世代へ受け渡していくことも、私たち現地社員の大切な役割だと思っています。
駐在員の皆様にお願いしたいこと
駐在員の皆様が、すべてを一人で理解する必要はありません。
私たちは、そのためにいます。
赴任直後は、すぐに変えようとする前に、ぜひ現地社員の話を聞いてみてください。
「これまで、どうしてきたのですか。」
「皆さんなら、どう考えますか。」
「何か気になることはありますか。」
そんな一言だけでも、私たちは「一緒に会社をつくっていこうとしてくれている」と感じます。
そして、日本語が話せるローカル日本人スタッフだけに頼るのではなく、英語であっても、ぜひ様々な現地社員と直接対話をしてみてください。
最初は時間がかかるかもしれません。
しかし、その積み重ねが、本当の意味で一つのチームをつくっていくのだと思います。

最後に
米国子会社を強くするために必要なのは、駐在員だけの力ではありません。
現地社員の経験、ローカル日本人スタッフの橋渡し、そして本社と現地をつなぐリーダーシップ。
そのすべてが重なって、組織は成長していきます。
駐在員は、限られた任期の中で成果を求められます。
一方で、私たち現地社員は会社に残り、次の駐在員を迎え、そのまた次の駐在員とも働き続けます。
私たちは、変化を拒んでいるわけではありません。
会社をもっと良くしたいという思いは、駐在員の皆様と変わりません。
だからこそ、お互いを理解しようとすることから始めてみませんか。
信頼は、一方通行では築けません。
駐在員が現地社員を理解しようとすること。
そして現地社員も、新しい駐在員を理解しようとすること。
その積み重ねが、「本社の人」と「現地の人」という見えない壁をなくし、一つのチームをつくっていきます。
米国子会社の強さとは、優れたリーダーがいることだけではありません。
立場や国籍、言葉の違いを越えて、お互いを理解し、尊重し、同じ目標に向かって歩める組織であること。
それこそが、持続的に成長する組織の土台なのではないでしょうか。
※本ニュースレターは一般的な情報提供を目的としており、特定の税務・投資アドバイスを行うものではありません。個別の判断については、401(k)プランの専門家または税務アドバイザーへご相談ください。
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