カリフォルニア法人税アップデート AB 1790とは?water’s-edgeの見直しが企業に与える影響
Premier Kaikei
2026年6月26日
税務
2026年6月
カリフォルニア法人税アップデート
AB 1790とは?water’s-edgeの見直しが企業に与える影響
カリフォルニア州(CA州)でビジネスを行っている多国籍企業にとって、「どの範囲の会社を含めて税金を計算するか」は、とても重要なポイントです。現在、CA州ではこの仕組みを大きく変える可能性がある法案「AB 1790」が議論されています。
- そもそも何が問題になっているのか?
まず前提として、CA州ではグループ会社全体の利益をまとめて計算する(連結的な考え方)仕組みがあります。多国籍企業の場合、以下の2つの考え方があります。
① Worldwide(ワールドワイド方式)世界中の関連会社すべてを含めて利益を合算する方法
② Water’s-edge(ウォーターズエッジ方式)主にアメリカ関連の会社だけに範囲を限定して計算する方法
現在は、この②の「water’s-edge」を企業が選択できる仕組みになっており、多くの企業がこちらを使っています。
- water’s-edgeを選ぶと、海外子会社の一部は計算から外せる
- その結果、CA州での課税額が抑えられるケースがある
- AB 1790とは何か?
今回の法案「AB 1790」は、このwater’s-edge制度を大きく見直す(=実質的には廃止方向)内容です。
簡単に言うと、「今後は世界全体で税金を計算すべきでは?」という方向への変更案
背景には以下の考えがあります:
- 海外に利益を移すことで税負担が軽くなっている
- 現行制度が国際税制の変化に追いついていない
- より公平な課税にする必要がある
- 何が変わるの?(想定スケジュール)
AB 1790がそのまま成立した場合、以下の流れが想定されます。
■ ① 2026年~2027年(移行期間) 企業にとっては「準備期間」
- water’s-edgeを自由にやめやすくなる
- 通常は制約があるが、この期間は柔軟に変更可能
■ ② 2028年以降 今後は「世界全体での利益」をベースにCA州税を計算する方向
- water’s-edgeは完全廃止
- 新たに選ぶことも不可能
- 全企業がworldwide方式へ移行
- 企業にとって何が影響するのか?
この変更で一番大きな影響は、税金の計算対象が広がる可能性があることです。
■ 影響のイメージ
これまで:海外子会社(特に低税率国)は計算外
これから:海外子会社も含める必要あり
結果
- 課税対象の利益が増える可能性
- CA州の税額が上がる可能性
特に次のような企業は影響が大きい可能性があります:
- 海外子会社が多い
- タックスヘイブンに拠点がある
- グローバルで利益配分をしている
- まだ決まった話ではない点に注意
重要なポイントとして、この法案はまだ成立していません(審議中)。そのため、現時点では
「確定事項ではないが、影響が大きいので準備は必要」という位置づけです
- 内容が変わる可能性あり
- 施行時期が後ろ倒しになる可能性あり
- 一部だけ採用される可能性あり
- 今からやっておくべき4つのこと
法案成立に備えて、企業が今からできる準備を整理すると以下の通りです。
① 現在の構造を整理する まずは「現状把握」が出発点
- どの会社が対象に入っているか
- どの海外子会社が除外されているか
② 税額シミュレーションを行う これが経営判断の基礎になります
- 全世界ベースで計算した場合の税額を試算
- どの程度影響が出るかを把握
③ 戦略の検討(早く切り替えるか?) 税金だけでなく管理コストも含めた判断が必要
- 2026–2027年に先行してworldwideへ移行するか
- 2028年まで現状維持するか
④ データ・体制の確認
worldwide方式になると:
- 海外子会社の財務データが必要
- 各国の情報を統一して集計する必要
課題になりやすい点: データが揃わない、タイミングが間に合わない、システム対応が追いつかない
- 見落としがちなリスク
① 税負担の増加リスク 海外収益が加わることで、想定以上に税負担が増える可能性
② 会計への影響 決算(税効果会計)に影響 (将来の税金見積もりが変わる)
おわりに
AB 1790 は、CA州法人税の国際課税実務にとって、単なるテクニカル改正ではなく、water’s-edge election という長年の実務前提そのものを見直す可能性を持つ法案です。現時点では未成立である一方、成立した場合の影響は大きいため、今からグループ構成の確認、税額試算、データ体制の確認等を進めておくことが有効と思われます。
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